2017年度世界エイズデー国内キャンペーンテーマについて

 12月1日の世界エイズデーを中心にした国内キャンペーンのテーマは「UPDATE!」がキーワードです。
 治療の進歩を踏まえて「エイズのイメージ」を更新し、新たな予防や支援の枠組みを構築していこう。そんなメッセージです。
 また、予防、支援、そして治療の普及を妨げる最大の障壁というべき社会的な偏見や差別の克服、誤解の解消はもちろん、最重要の「アップデート」対象です。
 なお、『UPDATE!』は英文表記となっていますが、ポスターやチラシで縦書きにする必要があるときにはカタカナ表記の『アップデート!』にすることもできます。

 厚生労働省と公益財団法人エイズ予防財団が主唱するキャンペーンでは過去3年、「AIDS IS NOT OVER」を中心メッセージとして連続して採用し、その共通テーマに各年度の方向性を示すサブメッセージを加えてきました。
 HIV/エイズの流行は依然、続いていること、したがって予防、治療、支援、そしてエイズにまつわる偏見や差別の解消に向け、引き続き努力が必要なことを呼びかけるメッセージです。
 3年間の共通メッセージには、啓発現場の自治体担当者からも、エイズ対策への理解が定着し、取り上げやすいとおおむね高い評価を得ています。
 ただし、共通テーマには、あまり長く使用すると新鮮さが失われ、啓発効果が薄れるという欠点もあります。

 テーマの選定にはHIV/エイズ対策の現場にいる予防啓発や支援のNGO/NPO、HIV陽性者のネットワーク、自治体といった関係分野の人たちの意見が反映できるよう工夫を重ねてきました。そのプロセスの中で、今後3年程度の継続に耐えうる新たな共通テーマとして『UPDATE!』が浮上し、さらに今年度は「エイズのイメージを変えよう」というメッセージをあわせて打ち出すことになりました。
 しばしば指摘されてきたようにエイズはすでに「死の病」のイメージを脱し、HIV陽性者は感染の早期把握、および治療の早期開始・継続によりエイズの発症を防いで、感染していない人と同じくらい長く、健康的な社会生活を送ることが期待できるようになっています。
 治療を継続して体内のウイルス量が大きく減少すれば、HIVに感染している人から他の人への感染リスクをゼロに近いレベルまで下げられることも確認されています。
 つまり、治療の進歩でHIV陽性者の生活は大きく変わり、HIV感染の予防にもその進歩に支えられた様々な選択肢が用意されるようになりました。
 一方で、現状はそうした変化が正確な情報として社会に広く伝わっているとは言えず、いまなお以前のままのHIV/エイズのイメージを持つ人も少なくありません。そのことが感染を心配する人たちを検査や治療から遠ざけ、効果的なHIV/エイズ対策の遂行を困難にする要因のひとつにもなっています。
 情報をUPDATE(更新)して、エイズのイメージをより現実に近づけていくこと、それはHIV/エイズの流行を横ばいから減少へと転ずるための喫緊の課題です。
 UPDATE!は今年11月の日本エイズ学会学術集会・総会に時期を合わせて実施される東京エイズウィークスのキーワードであり、コミュニティレベルのキャンペーンと連動した啓発・支援活動の効果も期待できます。