UPDATE YOUR REALITY:HIV/エイズをめぐる現実はものすごいスピードで変化している。

▦ ニュース

最新のエイズ研究動向などを報告 第29回日本エイズ学会学術集会・総会、岡慎一会長が記者会見

 第29回日本エイズ学会学術集会・総会の岡慎一会長が10月15日午後、東京・内幸町の日本記者クラブで記者会見を行い、HIV/エイズの流行および研究の最新動向を報告するとともに、今学会の注目点について説明しました。

 会見にはTOKYO AIDS WEEKS 2015実行委員会から特定非営利活動法人ぷれいす東京代表の生島嗣さんも同席し、TOKYO AIDS WEEKS 2015の趣旨、および学会プレイベントの概要などを報告しました。会見の動画はYou tube日本記者クラブチャンネルでご覧いただけます。こちらからご覧下さい。
 http://www.jnpc.or.jp/activities/news/report/2015/10/r00031812/

    ◇

 今年の学会は11月30日(月)、12月1日(火)の2日間、東京都文京区の東京ドームホテルで開催されます。また、その前2日間のプレイベント会場となる国立国際医療センター(東京都新宿区戸山1-21-1)では、28日午後5時から学会のオープニングセッションとして次の2つの講演が予定されています。

・『HIV予防における長期作用型曝露前予防(PrEP)薬』
デビッド・ホー博士(アーロン・ダイアモンドAIDS研究所医科学部長兼CEO)
・『編集者から見た科学論文の書き方』
 スチュアート・スペンサー博士(英医学誌ランセット編集者)

 これまでは3日間だった学会の会期が今回は2日間に短縮されています。ただし、オープニングセッションの2講演については前日、別会場を使用し、しかも学会の登録料なしでも参加できるという新機軸が打ち出されています。

 今回のテーマは「予防、予防、予防、そして予防」です。予防の連呼には少々、刺激的な印象もありますが、岡会長によると、治療の進歩により、早期に検査で感染が判明し、治療を開始すれば(1)エイズの原因ウイルスであるHIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染した人のエイズ発症を防ぎ、長期生存が可能になった(2)感染した人の体内のウイルス量を減らし、他の人への感染のリスクを大きく下げることが確認された—という2つの研究成果を踏まえ、選択したということです。

 世界保健機関(WHO)もつい最近、こうした研究成果をもとに、12月発表予定だった治療ガイドラインのうち2点を3カ月前倒しして先行発表しました。ひとつは、従来のように免疫細胞が一定レベルまで減少するのを待つのではなく、感染が分かった人には直ちに治療を開始すること。もう一つは、感染リスクの極めて高いと思われる人に限り、感染していなくても予防目的で抗レトロウイルス薬の曝露前予防投与(PrEP)を認めるということです。今学会では、オープニングセッションで講演を行うホー博士をはじめ、これらの研究分野の第一人者を招き、最新の研究成果を聞けるということです。

 一方、学会における学術的な発表の重要性は改めて指摘するまでもないのですが、それだけでエイズ対策の全体が把握できるわけではありません。その意味では、社会の幅広い分野からさまざまな表現のプログラムを用意した2日間のプレイベントの開催は非常に大きな意味を持つものであり、この点は会見におけるお二人の報告でも、重要なメッセージとして伝えられました。

ページ上に戻る


トップ | イベント | ニュース