『データは語る:アジア太平洋地域における2030年HIV流行予測』

 UNAIDSの公式サイトに『WHAT THE DATA TELL US: Projections for the HIV epidemic in Asia and the Pacific in 2030(データは語る:アジア太平洋地域における2030年HIV流行予測)』という冊子が紹介されています。その日本語仮訳がAPI-Netに掲載されました。こちらからご覧ください。
 https://api-net.jfap.or.jp/status/world/booklet085.html
 《HIV感染症の新規感染率-死亡率比(IMR)は推定1.61で、基準となる1を超え、この地域のHIV陽性者人口が依然、拡大していることを示しています。年間の新規感染者数が死亡者数を上回っており、HIV治療の普及を含む予防対策に力を入れる必要があることを示しているのです。比率が1未満ならHIV陽性者人口は減少に向かい、流行の負担が軽減されることで、抗レトロウイルス治療の普及とそのためのサービスのコストが下がることになります》
 つまり、「亡くなる人よりも、新たに感染する人の方が多ければHIV陽性者人口は拡大する」ということなんですが、「ただし・・・」と記述は以下のように続きます。
 《死亡率が極めて高ければ、それで比率1未満という目標が達成される可能性も実はあります。このため、(死亡率を左右することになる)治療の普及率が低い場合には、新規感染率-死亡率比の解釈は慎重に行う必要があり、この地域のIMRも治療の普及率を含め慎重な解釈が必要になります》
 つまり、治療の普及が目指すべきは、治療の効果で亡くなる人が減り、なおかつ、それ以上に新規に感染する人が抑えられている状態です。アジア太平洋地域の新規感染件数は、表にも示されているように減少傾向をたどっていますが、そこまで抑えられているわけではありません。
 その理由はアジア太平洋地域の治療普及が進んでいないためなのかどうか、実はそのあたりのことは原文にもはっきりと書かれていないので翻訳にも苦労しました。
 どなたか、アジア太平洋地域の治療普及状況について、国際的な基準から見て進んでいるのか、いないのか評価できる方がいらしたら教えてください。