HIVの再拡大を許していいのでしょうか 2025年IAS年次書簡

 HIV分野で世界最大の専門家組織である国際エイズ学会(IAS)が2月6日付で、2025年の年次書簡『Why HIV could be poised for a monumental comeback』を発表しました。
 https://www.iasociety.org/annual-letter-2025
 やや意訳気味ですが、コミュニティアクションでは『HIVの再拡大を許していいのでしょうか』と題して日本語仮訳の要旨を作成しました。
 書簡は最初にgood newsとして「エイズパンデミックに対する革命的な抑制策が得られるかもしれません』と長期作用型抗HIV注射薬に期待感を示しています。
 ただし、『HIVと公衆衛生の分野で苦労を重ねて獲得してきた多くの成果が、ポピュリズムの台頭と後ろ向きの統治によって台無しにされてしまう恐れもまた強まっています』と今後のHIV対策にはむしろ悲観的です。
 年次書簡としては短めで、発表時期も少し早い印象も受けます。
 米国のトランプ政権が対外援助資金見直しの方針を打ち出したことで、米大統領エイズ救済緊急計画(PEPFAR)やその関連プログラムへの影響が懸念されています。書簡が早めに公表されたのは、こうした事態への切迫感があるからかもしれません。
 《科学と人権を軽視することが成果を後退させ、次のパンデミックを招くリスクになっています。しかし、その逆の道を選べば、HIVパンデミックを永久に終結に導くことが可能になります。その青写真もあります》
 書簡はこう指摘したうえで、以下の4点を強調しています。
 ・ 人権をまもる
 ・ 縮小しつつある市民社会の空間を確保する
 ・ 公衆衛生を非政治化する
 ・ 国際協力を強化する

 国連合同エイズ計画(UNAIDS)はこれまで「政治のリーダーシップ」の重要性を繰り返し強調し、IASも同じ見解を共有している印象だっただけに「公衆衛生の非政治化」という3番目の指摘からは切迫感がより強く伝わってきそうです。年次書簡の日本語仮訳要旨(PDF、コミュニティアクション編集部訳)は こちら でご覧ください。