国連が『国際セクシュアリティ教育ガイダンス』を改訂

 国際的な性教育の指針となっている国連のInternational Technical Guidance on Sexuality Education(国際セクシュアリティ教育ガイダンス)が9年ぶりに改訂され、ユネスコ(UNESCO=国連教育科学文化機関)やUNAIDS(国連合同エイズ計画)の公式サイトにPDF版で公開されています。
 https://en.unesco.org/news/urges-comprehensive-approach-sexuality-education
 このガイダンス(手引き)はユネスコが中心になり、UNAIDSやユニセフ(UNICEF=国連児童機関)などいくつかの国連機関や性教育分野の専門家の協力を得て2009年に初版が発行されています。
 ユネスコのニュースリリースによると「すべての国の教育政策担当者を対象にして、5歳から18歳以上までの子供や若者にとって正確でそれぞれの年齢に適したカリキュラムを提供できるようにまとめられている」ということで、包括的性教育(CSE)の重要性を強調し、各国に様々なかたちで影響を与えてきました。わが国では、日本語訳の『国際セクシュアリティ教育ガイダンス 教育・福祉・医療・保健現場で活かすために』(ユネスコ編)が明石書店から出版されています。
 改訂版については、ユネスコのオードレ・アズレ事務局長がリリースの中で「最新の科学的エビデンスに基づき、国際セクシュアリティ教育ガイダンスは、性教育を人権とジェンダーの平等という枠組みの中に位置づけることを再確認しました」とコメントしています。つまり、基本的な考え方は初版と変わっていないということになります。
 それでもこの時期に全面的な改定作業を行ったのは、以下の理由からのようです。

1 CSEをこの10年近く進めてきた結果、様々な教訓が得られたのでそれを生かしたい。
2 2030年を目標年とする15年間の持続可能な開発目標(SDGs)には、若い人たちへの性教育の重要性が教育、保健の両面から盛り込まれており、この際、CSE推進の勢いをつけたい。
3 インターネットとソーシャルメディアの普及で性に関する情報はあふれるように流れており、その中には不正確なものも多いので、情報に対する評価や対応の基礎力を養う必要がある。

 ユネスコのプレスリリース、および改定ガイダンスの序章の中の『1.3 なぜ改定が必要なのか』については、以下のブログで日本語仮訳を見ることができます。
 《国際セクシュアリティ教育ガイダンスを改定 エイズと社会ウェブ版321》
 http://miyatak.hatenablog.com/entry/2018/01/16/154204